こんにちは、霧島市のManipulative NAGATAです。
以前、膝の痛みの原因が軟骨の擦り減りであることは考えにくいことをお話ししました。
① 軟骨には痛みの神経がないこと
② 痛みを感じる骨膜は関節面には存在しないこと
どんどんどんどん骨が削られてしまい、めちゃくちゃ変形するぐらい骨がすり減ってしまうと痛みが発生するかもしれません。しかし、レントゲン上で骨がすっごく削れてしまっている人がいましたが、痛みはあまり強くありませんでした。整形外科の先生もびっくりしていて「本当に激痛じゃない?」と何度も聞き返すぐらいの変形でしたが…。
むしろ、変形が比較的軽度の人が痛みが強い印象がありました。
変形の程度と痛みの程度は必ずしも一致しません。
膝の痛みの原因は関節・骨にあるという説は一度疑う必要があるかもしれません。
次の報告を参考にすると、関節面や骨以外の原因を追及する有効性がより強くなると思います。
下の図は、“園部俊晴の臨床 膝関節“から紹介します。かなり破壊力のある書籍です。

元の文献は、Dye SF, et al.: Conscious neurosensory mapping of the internal structures of the human knee without intraarticular anesthesia. Am J Sports Med. Nov-Dec;26(6):773-7,1998. で、海外の整形外科医が自分の膝を使って実験したものです。
要するに、内視鏡を使って自分の膝関節(軟骨、靭帯、半月板、脂肪体)に刺激を与えていった。痛み感覚の感じ方についてマップを作ったようです。
一番痛みを強く感じたのが、
- 脂肪体
- 靭帯
でした。
肝心の軟骨は痛みなし!膝のお皿の裏の軟骨に至っては感覚なし!
半月板は不快感で痛みは感じづらい。という結果だったそうです。
膝関節の軟骨がどうのこうの…。のサプリメントはどうなのでしょう?
肝臓に負担がかかるだけではないでしょうか
軽度の変形で痛みのみで施行される手術はどうなのでしょう(手術を否定してはいません)。
ここは、理学療法士や柔道整復師などセラピストの腕の見せ所なのかもしれません。
では、なぜ軟骨説が根強いのか?
通常の診断では、診察での問診やレントゲンやCTなどの画像検査が中心となり医療が提供されます。
やはり、画像検査というのは本来目に見えない身体の中が見えるのですから、その影響は非常に大きくなります。 そして、正常から逸脱している、異常とされる変形があれば見逃すわけにはいきません。先生方は解剖学的な異常は細かいところまで見逃しません。
これまで筋肉や筋膜、脂肪帯といった軟部組織は第一選択となる上記の画像検査では鮮明に写りません。 ただ最近は、エコー検査もかなり採用されてきていて筋膜や脂肪帯などといった軟部組織が取り上げられるようになってきました。
そして、エコーの評価と軟部組織を対象としたアプローチの成績が良いことが少しづつ証明されてきました。
すでに、筋肉、筋膜、脂肪体などが原因であること経験した先生は、10数年も前から上記のような関節、軟骨説だけに頼らない診療をされている方もいます。
もしかしたら、近い将来は脂肪体などの説が逆転して、それが主流になって膝の痛みで困る人が激減するかもしれませんね。
そのためには、クライアントに関わるそれぞれのスタッフが協力して臨床現場のレベルを上げていかなくてはいけませんね。
私も試行錯誤を続けながら、頑張っていきます。
コメント